気まま視聴覚室

人生は音楽だ。映画のような人生を。

大いなる休暇

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大いなる休暇

関東地方の梅雨明けも発表された、暑い夏の昼下がり。「ライフ・イズ・ミラクル」を観ようと出かけたところ、時間設定ミスって遅刻...。蒸し暑さにうなだれていると、ふと隣の上映作品の看板が目に入る。

大いなる休暇

予告編で見たこともないし、雑誌やウェブサイトでもまったくノーチェック。3連休の最後に映画ではずすのも嫌だとは思いつつ、タイトルになんとなく惹かれたし呼び込みのおじいちゃんの話を聞いてたら興味がわいたので、そのまま観ることにした。

人口わずかのサントマリ島。漁業で栄えたのも昔のこと。そこへ降って沸いたプラスチック工場誘致の話。必須条件は島に医者がいることだが、長らく無医島のまま。そこにやってきた1人のお医者さま。島に定住させようと、島の命運をかけて島民の必死の大芝居が始まる・・。
憎めないウソの数々にクスリと笑って、ジワッと心が温まる。誰もが愛さずにはいられないカナダ中を幸せのオーラで包んだ話題作!

ストーリー的には予定調和的わるく言えばありがちなんですが、とても映画的で素直な作品で、観終わった後ニンマリしてしまいました。

登場人物一人一人の誰もが愛らしく、個性的な面々。医者に「島に恋させる」べく小さなウソから大きなウソまで、なんとしても気に入ってもらおうと島一丸となって奔走する姿は、実に微笑ましい。しかし悪気の無いウソでもウソはウソ。それに気づいた島民がどうするか、の展開が見所ですね。

失業・過疎化・高齢化・貧困と実はけっこう重いテーマだったりするのですが、その問題提起をうまく織り交ぜつつポジティブに、そして大らかな作品に仕上げたジャン-フランソワ・プリオ監督はじめ製作陣に拍手。それと、音楽サイコー。

上映中ふと気づいたのは、オレも含めて大勢の観客がおかしなシーンで一緒に声を上げて笑っていたこと。しかも何度も。そういうのって、なんかいいよな。