おいしいくらし

「お。」とトクした気分。

asics FOOT IDで選べ!ランニングシューズ

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去年の3月に買ったランニングシューズのソールがそろそろ磨り減ってグリップが弱くなってきたようなので、新調しました。自分の足にあったシューズが欲しくて、今回はアシックスストア原宿に相談へ。FOOT IDという最新のシステムを使って足型の分析をして選んでもらったのですが、これがなかなか楽しかったのでご紹介。

去年の3月にランニングを再開した際に購入したランニングシューズはNIKEのAIR ZOOM(生産終了)というモデルで、これはもうビギナー特有のただカッコイイからという見た目最優先かつNIKE+に対応しているというだけの理由で買ったシューズです。実際に使い始めた後で知ったのですがこのモデルはどちらかと言えばフルマラソン等のレースに積極的に参加するようなシリアルランナー向けのシューズだったようで、本当に軽いのですがクッション性能はビギナー向けのモデルと比べると弱く裸足に近い感覚を目指したものだったようで、当然ビギナーの僕はすぐに膝が痛くなってしまい最初のうちは苦労させられました。

走り始めたばかりでまだ膝ができていなかったということもありますが、すぐに膝にきてしまうようなシューズは自分に合ってないケースがほとんどなので別のものを検討すべきだったと思うのですが、あまり安いものでもないのでランニングの回数を減らすなどで様子を見つつ騙し騙し使ってきました。そのうち膝が慣れてくるとそれまでに感じていたような痛みはだんだん減ってきて、いまは10〜20km程度では全然平気になってきたので結果オーライとしたのですが、まあこのやり方は僕がたまたま大丈夫だっただけで人によっては慢性的な怪我の原因になってしまいますので本当におすすめしません。。

そういった点で言えば苦労した分思い入れのあるシューズということになりますが、8ヵ月ほど使ってソールが磨り減ってきてので新調することにした。AIR ZOOMを購入したときはランニングがいつまで続くのか未知数(というかあんまり自信無かった)だったので、最悪止めてしまったときのことを考えて普段の町歩きに使っても可笑しくなさそうなもの、というかなり消極的な理由で選んだものですがこの分だとどうやらまだしばらくはランニングを続けていけそう。最近はフルマラソンに参加したいなぁなど、むしろ走りたく思えるようにもなりましたし(フルマラソンはまだ無理ですが)。

で、次に履くシューズは自分の足に合ったものにしたくて暇があればチラホラといろんなメーカーのシューズを調べていたのですが、そんな中で俄然興味を持ち始めていたのが「アシックス」でした。

ランニングと聞いて僕の頭にふっとよぎる場所はやっぱりニューヨークのセントラルパークだったりするのですが、そのニューヨークのランナー達の間でアシックスはいま非常に人気があるそうです。アンケートによるとおよそ50%もの人が選んでいるそうで、彼らの中ではアシックスは「エイシックス」と呼ばれ羨望の対象だとか。たまたまなのですがBRUTUSの2月号でアシックスが取り上げられており、そんな記事が掲載されていました。

正直なところアシックスというブランドに対して抱いていた印象はと言えばまぁ一言で「地味」でして、特にネガティブなイメージはなかったものの逆にあまりカッコいいというイメージもなくて、ランニングシューズに限らず普段の外履きを選ぶにしてもまず上がってこない選択肢です。ただ、ランニングを本格的に趣味にされている人のブログやシューズのレビューなどをネットで拝見するとなかなか評判が良くて最近は気になる存在になっていました。それに加えてBRUTUSの記事にFOOT IDというアシックスストアの最新の設備が話題に上っていて、これがなかなか楽しそうだったので原宿のアシックスストアへ行ってみた。

FOOT ID

アシックスストア原宿は東京メトロ 明治神宮駅を降りて徒歩1分の場所にある、表参道沿いヴェロックスビル28の地下1階。駅から地上に出る6番ゲートの途中に入り口があります。

店内に入ると中央にFOOT IDの大きなブースがありますがとりあえずはランニングシューズのラインナップを見てみるべくディスプレイコーナーへ。20〜30足くらいのシューズが並んでいるものの、サイトのプロダクツページを見ると分かるとおりデザイン的にはどれも似通っていて手にとってみても見た目には何がどう違うのか機能的な区別は全然つかない。

そういうわけでさっそく近くにいた店員さんを呼んでシューズを選びたい旨伝えたところ、「うん、まずいまどこのメーカーのシューズ履いてるの?」とやけにフレンドリー。NIKEのAIR ZOOMを見た目重視で買って履いていてアシックスは初めてで全然分からないと素直に伝えたところ、

「オーケー。ナイキやアディダスとか外資系のブランドのシューズ履いてた人がね、アシックスのシューズ履くとね、マジ、ぜん...(この間3秒ほどの溜め)...っぜん違うから!!すげー堅くて、なんてシューズ履かせるのって思うよきっと、ふふふ。さぁ足、計測してみようか?」

と見た目ふつーのオッサン(ごめんなさい...)に見えた店員さんが驚きのハイテンションである(以下、ハイテンション兄さんと呼ぶ)。さすが原宿・表参道・お洒落の殿堂・トレンド発信基地、世田谷千歳烏山というベッドタウンに事務所を構えるしがないデザイナー風情である僕にとってはまさに予想GUYな人物で若干気圧されたのですが、案内されるままFOOT IDのブースへ。

ひとくちにFOOT IDと言ってもサービスはいくつかあり、そのうち今回僕が受けたものは "3次元足形計測器(3D FOOT SCAN)" というもので、その名の通り専用のスキャナで足形を計測し特徴を分析するというもの。

3D FOOT SCANは無料で受けられるサービスですが、利用には会員登録が必要。その場で定型のフォームに記入した後、まず裸足になってボトムスの裾がずり落ちてこないよう膝くらいの位置までまくりあげるよう指示されます。その間機械のセットアップを済ませたハイテンション兄さんは、次に計測に必要なマーキング用のシールを僕の足に貼ろうとするのですが、僕の足を一瞥するなり「あ、もしかして左足痛かったりしない?」と質問を投げかけてくる。これが実は図星で、最近は克服したものの走り始めた当初は痛くなるのは決まって左膝だったのでビックリしました。他人はもちろん自分が見ても特に違いがあるようには見えないはずの僕の足なのですが、足形的に左足に負担がかかりやすいというのが現れているそうで、どうやらハイテンション兄さんは単にハイテンションなだけではないやり手ということが分かり安心しました。すごいものですね。

両足にそれぞれ3つずつマーキング用のシールを貼り終えると、あとはスキャナの中に足を片方ずつ挿れて計測を行っていきます。なにかジェル状の液体が入った中に足を突っ込むという勝手なイメージを持っていたのですが、実際には穴の底にフラットベッドスキャナが横たわっているようなもので、計測時には膝の位置でフタを閉じてしまうため中の様子は伺うことができなかったのですが、動作音としてはウィー〜ンというまさにそれでした。

スキャナに接続されていたコンピュータは普通のWindows XPのデスクトップ・パソコンで、スキャナの計測とほぼリアルタイムに僕の足の3次元モデルがモニタ上に反映されていく。思わずおぉ〜と声をあげてしまいましたが、両足の計測が終わるとすぐにその細かな計測値が算出されプリントアウトされて排出されてきました。テキパキと一連の作業を終えたハイテンション兄さんはそのデータを持って店内のディスプレイコーナーまで僕を連れ戻します。

計測結果の分析

ここからは計測結果の値をひとつひとつ取り上げながら、それぞれがどのような意味を持つかを丁寧に解説をしてくれます。以下は僕の計測結果なのですがけっこう細かく出ているんですよね。

足の分析データ

結論を言えば僕の足は「かかとの傾斜角度」に特徴があって、数字を見ても明らかですが左足の足首が右側に比べて可動域が大きく負担がかかりやすいそうです。この数字が両足で違うのは普通のことですしもちろん個人によりけりで良いとか悪いという意味もなく、そういう足首ということで認識してくださいということでした。中には両足首とも傾きの可動域がゼロに近い人もいるそうなのですが、そうしたタイプの人は少し運動するとすぐにふくらはぎが痛くなる傾向にあるとのこと。

ちなみに待ち合わせなどで立っている際、疲れてくると片足を投げ出してもう片方の足に体重をかけた斜め立ちをすることがあると思いますが、実はこのとき無意識に負担のかかりやすい方の足を投げ出していることが多いそうです。実際、僕は左足を投げ出して立つことの方が多いのですがそれにはこういった理由があったわけですね。僕とは逆に右側の足を出すことが多いよという人は、右足首の傾き可動域が左よりも大きいのかもしれません。

またもう一つ特徴として指摘されたのはこれは両足共通なのですが、若干幅広の足であるということ。計測結果にJISサイズとして "2E" という値が出ていますが、これは足の長さを周囲の長さで割った比率から出される値で、足の甲が広いか狭いかを表す指標。"2E" は平均的な値なのだそうですが、ただし僕の場合平均より5mmほど甲が薄いにも関わらず周囲の長さは平均値ということで、相対的に幅広ということになるそうです。なので幅の狭いシューズはもちろんアウト、だからといって幅が広すぎるわけでもないので幅広のシューズを選ぶのもアウトという若干難しい足形ということがわかりました。

Foot Viewer用 3次元足形データ

この計測した足形データは、今回計測を行った原宿以外のストア(と言ってもあとは銀座しかありませんが)に行った場合にも自分にあったシューズをスムーズに提供できるよう共有されるほか、アイウェアラボラトリーの提供する "iTouch" というウェブサービスで自宅に戻ってからも自分のパソコンで確認できる。さらにWindows用ですがサイトからダウンロードできる "Foot Viewer" というソフトウェアをインストールすれば足の3次元モデルも閲覧可能です。いったい誰が見たいんだという話ですが、僕の足形のデータを置いておきますのでもしもご興味がありましたら僕の足をぐりんぐりん動かして遊んでやってください。3次元モデルにある赤い点は、計測時にシールを貼っていた場所になります。

GEL-KAYANO 16(ゲルカヤノ 16)

長くなりましたが、以上の計測結果を踏まえてハイテンション兄さんが僕のためにレコメンドしてくれたシューズがこちら。デロデロデロデロデロデロ... デンッ(ドラムンロール)。

GEL-KAYANO 16(ゲルカヤノ 16)

"GEL-KAYANO 16" ...はいっ、「地味」です(笑)。ランニングシューズと言われたらだいたいこんな感じのものを想像するのではないかという一見スーパーオーソドックスなデザインなのですが、選んで下さったのにはきちんと理由があります。

まず左足首に負荷がかかってしまいがちな僕のために、土踏まずの周囲に周りの素材よりも堅い素材を取り入れ「柱」のように配置したモデルを選んだとのこと。下の1枚目の写真に写っているグレーの部分がその「柱」ですね。ランニングして足が疲労してくると人は自分にとって楽な姿勢をとろうとして、僕のようにかかとの可動域がある人は走りながらどんどん足首が傾いてきてしまうそうなのですが、このシューズには柱の部分が倒れ込んでくる足首を支え本来の正しい姿勢を保とうとする機能があります。履いてみると分かるのですがその部分だけたしかに堅いのが伝わってきて、もしそこに体重をかけると痛みを感じて元の体勢を維持したくなるかな、という感覚がありまそた。またそれだけでなくこれまで履いていたNIKEのシューズとは違い、全体的に堅い印象があります。ハイテンション兄さんが冒頭で「すげー堅くて、なんてシューズ履かせるのって思うよ」と言った意味がここで分かりました。

もう1つ別のポイントとしては、2枚目の写真。僕の足は左右とも小指の付け根の骨が少し出た形でかつ前述したように少し幅があります。この突き出た部分が写真で示す部分にくるのですが、GEL-KAYANO 16のデザインは上から下に垂直にラインが走っています。一方、他のシューズでは同じように垂直のラインがあるほか水平方向にもラインが走っているものがあり、この場合締め付けが強くなるためおそらく小指が痛くなってしまうだろうとのこと。さらにGEL-KAYANO 16は他のシューズと違いこの部分に収縮性の良い素材が使われているためより負担が軽いそうです。

正直そんな細かい部分まで考えてくれたハイテンション兄さんの気配りと的確なアドバイス、自社製品に対する深い知識にプロフェッショナルを感じまして、値段は15,225円と値引き無しの定価だったのですがその場で購入することにしました。いやはや、やっぱりちゃんとシューズは選ぶべきなんですね。自分で判断していたら自分にまったく合わないモデルを選んでしまっていたかも知れません。

デパートやスポーツショップにも同様に色々とアドバイスしてくれる親切な店員さんはいると思いますが、やはり実際に足形を計測して専門知識と照らし合わせた上でのアドバイスとでは結果は全然変わってくると思います。そういった訳で、これからランニングをはじめてみようと思っている初心者のみなさんにこそ、FOOT IDはおすすめしたい。アシックスストアは原宿の他はあと銀座しかなくて数が少ないのが残念ですが、ちょっとの遠出でアクセスできる方はぜひ。

使用シューズがアシックスに変わったことで当然これまで使っていたNIKE + iPod Sensorは取り付けられなくなってしまったのですが、そこは民主主義の救世主サードパーティーが他社製シューズにも取り付け可能なセンサーホルダーを販売してくれていますのでそれを使っていこうかなと。

というわけで次のランが楽しみになってまいりましたっ。シリアルランナーを目指しているわけではないものの、もう走るのが辛くてもタイムが伸びなくてもシューズのせいには出来なくなったということで、ちゃんとがんばらなければ。