おいしいくらし

「お。」とトクした気分。

eneloop bikeがひたすら格好いい

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SANYOのeneloopブランドの電動ハイブリッド自転車eneloop bikeにスポーツモデルのCY-SPK227が仲間入りしました。今乗っているGIANT ESCAPE R3がそろそろ年季入ってきて引退時だなぁと思ってなんとなく物色していたのですが、まさかeneloopブランドでぐいぐい引き込まれる自転車が登場するとは。

「電動ハイブリッド自転車」と聞いて僕が想像するものは “坂道上るのが体力的にキツくなってきちゃったおばちゃん向けチャリンコ” といったところでした。これまで見たどんな電動ハイブリッド自転車もデザインが「ママチャリ」ベースで商店街へのお買い物に行くのにはお似合いかもしれませんが、車道に出て都会の街中を颯爽と走り回ったり、休日に思い付きで50kmほどかっ飛ばして湘南の海へ行ったりする用途にはどう考えても不釣り合いなものでした。

最近になってスポーツモデルという位置付けのものもYAMAHAのPAS Brace-LやブリジストンサイクルのReal Streamをはじめとして各社から登場しているようですが、個人的にはどこかピンとくるものがなく購入を検討するに至ることはありませんでした。が、ここにきて条件さえ合えば欲しいかもと思えるものが登場しました。その名もeneloop bike CY-SPK227

デザイン的にはPAS Brace-LやReal Stream同様にスポーツモデルの自転車をかなり意識した仕上がりになっており、少なくともおばちゃんのチャリンコ臭さは微塵も感じません。まあ確かにスポーティーなんだけど、バッテリパック部分のデザインはもうちょっと目立たないようにならないものか... と電動ハイブリッド自転車からなんとバッテリパックを取ってしまいたいという元も子もない感想を抱かないこともないのですが、それを差し置いても欲しいと思わせてしまうのは

  • 他社と比べてフレームの成型がなめらか(フィレットのRが大きい)でやわらかく有機的な印象。
  • フレームをはじめカラーリングがマットブラックの落ち着いた質感で好み。
  • カーボンコンポジットフレームで軽量(他社と比べると2〜3kgも軽い)。
  • 各種パーツの作り込みも全体の統一感を損なわないよう丁寧に仕上げが施されている。手元のコントロールパネルが「家電」的でなくサイクルコンピュータの様にスポーツモデルの自転車に装備するものとして自然なデザインに落とし込まれている。
  • (無ければそれに超したことはないのですが)バッテリパック部分のデザインがその自転車の個性を表す要素として機能的に働いている。つまりバッテリパックが付いていても不自然さを感じない。
  • eneloopブランドである。

という点があるからでしょうか。まぁ、正直機能的な面の良し悪しよりも個人的な好みによる部分が大きいのですが、最後の「eneloopブランドである」ということろに特に惹かれています。

僕の暮らしを変えたeneloop。

最近買い物をしていて気づかされた出来事があります。朝に事務所の備品のタオルを調達するため会社近くの100円ショップに立ち寄ったのですが、先にレジで会計をしていた近所に住んでいるらしき主婦が大量の電池を購入していたんですね。数にして20〜30本の単三アルカリ乾電池だったと思うのですが、おそらくご自宅の備品用でしょう。特におかしなことはなくごく普通の光景ですが、そのとき僕がふと感じたのは「なんで電池買うんだ?」という違和感でした。

電池を買う。— そんなあたりまえの出来事になんで違和感を感じるのだろうと思い返してみれば、僕、この2年ほどボタン電池等特殊なものを除いて電池を買った覚えが無いんですね。自分がここ何年も買っていないモノを目の前で大量に買われてしまったので僕にとっては “普通じゃないこと” に映って見えたようです。ではなぜ僕は電池を買わないのか。それは使わなかったからではなく、使い捨てなかったから。

僕が持っている電池を必要とする電子機器のほとんどは、いまeneloopの充電池で動いています。キーボードやマウスもデジタル一眼レフカメラもGPSロガーも懐中電灯もミルクフォーマーも自転車のLEDライトも。eneloopは2005年11月に発売されたSANYOのニッケル水素蓄電池のブランド名で、発売からもう4年を迎えようとしていますので多くの人が街の電器屋さんや家電量販店でそのパッケージを目にしたことがあると思います。僕が購入したのは今から2年ほど前の引っ越しのタイミングだったと思いますが、それからは機器に入れている充電池の電力が尽きては充電をし、先に充電しておいた予備の充電池で差し替えるというまさに “loop(ループ, 輪になる)” するかたちで使い続けてきました。

僕がこれまで充電を面倒に思うこともなく「eneloop使わなくちゃ」と無理に意識もせずに使い続けてこられたのはeneloopの充電池に

  • 自然放電や電圧低下が抑えられているため、充電後長期間放置した後でも再充電する必要なく使用できる。
  • メモリー効果が抑えられており、継ぎ足し充電が可能。
  • 充放電可能回数が、従来型は約500回であるのに対し、約1000回可能(2009年11月登場の新モデルは約1500回可能となった)。
  • 低温環境下でも性能の低下が少ない。

という特徴があるおかげですが、今回のことで思いのほか自分の暮らしに深くなじんでいた事実に気づかされ感服してしまいました。

僕にとってeneloopを買おうと思った直接のきっかけとなったのは本当のところここに挙げた機能に惹かれたからではなく、「デザイン」だったりするのですが、それを考えると良いデザインが持つ力ってやっぱりすごいなぁと思う。

それまでにも充電池と呼ばれるカテゴリの汎用型電池(単三型や単四型)ってありましたし、機能的にeneloop充電池よりも劣っていたにしろ「エコ」目的ならいつでも移行できていたと思うんですよね。だけど僕がそれをしなかったのはエコしたくないとか当時あった充電池の性能だとかデザインのせいでもなく、単純に興味が向いていなかっただけなんです。

しかしeneloopが発売され店頭に置かれはじめると、充電池だけでなく使い切りタイプのものも含め、黒や赤や金色でこってりとした男気溢れるデザイン(それ自体悪いとは思っていませんが)だった他社の製品と比べてとにかく人目を引きました。スマートなタイプフェイスのブルーのロゴのみがプリントされた白い電池だなんて、従来の充電池には有り得ないスタイリッシュさでなんだか未来を感じさせるものに見えましたし、パッケージや店頭のPOPも鮮やかなブルーで美しく一貫したデザインが施されていましたので、いやでも興味が向かいますよね。実際に手に取ってみてパッケージに書かれた製品説明などを読むとなんだ充電池かと若干拍子抜けもするのですが、でもこれはかわいいしなんかカッコイイので手元に置いておきたい。そんな気にさせるほど僕にとっては新鮮なものでした。

そのようにして最初はデザインに惹かれて購入して使いはじめたものが実は機能的にも優れていると、それは生活の一部に溶け込んできます。「なんかいいな」と思って買ったものがしだいに所有者の暮らしを変え、そのうち使っている本人さえ気づかないうちに意識までも変えてしまうだなんて素敵ですよね。eneloopはデザインと機能が見事に融合し、ブランディングとしてもかなり成功したプロダクトなのではないでしょうか。PanasonicのEVOLTAやSONYのサイクルエナジーなど、他社もそれまでにあったニッケル水素充電池を似たようなコンセプトでリファインし追随してきましたが、eneloopのブランド力は今も突出しているように思います。

eneloopは発売以来カイロやソーラーチャージャーなどそのコンセプトを活かした提案を続けていますが、狙いどころが遠すぎない未来で、初めて目にする人たちがその製品のある暮らしを想像しやすいところが素晴らしいですね。SANYO製品には空気清浄機でも満足していることもあり、僕の中ではまだ所有している数としては少ないですが家電といえばSANYOの図式が成立しつつあります。既報の通り今年9月よりSANYOはPanasonicグループの傘下となってしまいましたが、ぜひeneloopブランドはSANYOのDNAを遺したまま今後も発展させていって欲しいなという気持ちです。

重さと○○がネックだが、男心がくすぐられる。

さて話がeneloopブランドの方に脱線してしまいましたが、ここに書いたようにeneloopには若干思い入れがあり、CY-SPK227にはeneloopブランドの自転車ということでぐいぐいと反応してしまいました。ただし今のところマイナスとなる要素が無いわけではありません。

1つは重さ。カーボンコンポジットフレームを採用したことで他社の電動ハイブリッド自転車と比べると軽いeneloop bikeですが、本体重量19.5kgというのは実はスポーツモデルの自転車としてはかなり重いです。僕が今乗っている自転車はGIANT ESCAPE R3 2006年モデルなのですが、購入価格が4万円台とリーズナブルだったにしては10.8kgとかなり軽い部類の車種でeneloop bikeの約半分の重量しかありません。そしてeneloop bike同様カーボンフレームを使ったスポーツモデルの自転車も勿論あり、軽いものになると7〜8kg代は珍しくありません。想像はつくと思いますが、自転車は一般的には軽い方が取り回し・走行性能・加速性能に優れ快適さが向上するので、そうなってくると20kg近いeneloop bikeの重量はどうしても気になってしまいます。

「電動ハイブリッド自転車」なので、アシスト機能を使えば重量なんて心配は消し飛ぶ乗り心地なのかもしれませんが、スポーツモデルの自転車に乗るような人は地元の商店街に行くばかりでなく、中距離の通勤に使うほか時に遠出をしたりします。休日に「今日は東京から鎌倉まで往復してきた!」なんて声をTwitterで聞くこともありますが、東京 - 鎌倉間の距離って往復で100km超えるんですよね。スペック的にはオートモードで約100kmはバッテリが持つようですし、自転車で100kmの移動をする機会がそれほど多いのかと問われればそうではありませんが、いざバッテリが切れてしまったときのことを考えるとちょっと不安になってしまう。乗車の度にバッテリを充電をしていればまず問題ないとは思いますが、バッテリが尽きれば途端に小さな子供と二人乗りしているかのようなただの重い自転車になってしまいますし、そうなることを考えてハラハラした気分でペダル漕ぐのはつまらない。それにオフロードでないにせよちょっと起伏のある道を走るときは自転車を担いで上ることもあるので、20kgとなると地獄を見そうです(笑)。僕の住んでいる世田谷区は本当に坂道が多いので、細い道に入りこんでしまったとき階段を上ることもざらにありますし。この場合さすがにアシストしようがないでしょう。

そして一番厄介な○○は、自転車としては破格というか強気すぎる627,900円という希望小売「価格」。上を見れば電動ハイブリッドでなく普通の自転車で100万円近くするようなスポーツモデルがあるのは事実ですが、おれディカプリオじゃないし、これはさすがに僕のような一介のデザイナーがちょっと奮発しましたで買える値段でなく、相当無理しました(泣)という買って嬉しいんだか悲しいのだか分からなくなる値段なんですよね〜。eneloop bikeだけあってバイク並のお値段とはこれいかに。作り込みにかけているコストや仕事の質がまるで違うのだよ、と言われてしまえばそれまでなのですがここは他社の電動ハイブリッド自転車並みの12〜15万円に抑えて欲しかったところ。残念ですがこの点で次に乗る自転車選びの候補から真っ先に外さざるを得ないのが悲しい。。

とはいえ初めて電動ハイブリッド自転車でカコイイ!と思えるものが出てきたので将来的には楽しみ。“電動ハイブリッド自転車 = おばちゃんチャリ” という勝手なイメージが自分の中で先行してしまっていましたが、そもそも「電動ハイブリッド」ってとってもメカニックでフューチャリスティックでデスティニーズ・チャイルド(違)な男子っぽさを感じさせる言葉だし、eneloopなら充電作業そのものを楽しめそうな気がするんだ。このデザインとカラーリングは男心をかなりくすぐると思うのですがいかがでしょうか。セグウェイ買うなら僕はeneloop bike買った方がよっぽど嬉しいです。

今後の技術革新でバッテリ部分をフレームの中に収めてしまうなどデザイン的にもっとスマートな形に発展するでしょうし、生産台数の増加で普及価格帯のモデルが登場するだろうから、そうなったときが本当に楽しみです。ぜひ遠くない未来になることを祈りつつ待ちたいと思います。なんならめっさ丁寧にレビューなど書きますんで2~3年モニターとしてお借りできる未来さきどりの奇跡起こらないかしら。(ないない)