ネットをめぐる冒険

これだからインターネットはおもしろい。

aguije Caiman

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aguije Caiman

aguijeワニプロジェクトより初のオリジナルフォント “aguije Caiman”(アグイジェ・カイマン)をリリースいたしました。クリエイティブ・コモンズ・ライセンス下でどなた様でもご自由にお使いいただけます。

The quick brown fox jumps over the lazy dog.

佐藤可士和さんがユニクロのために作られたユニクロ・フォントのように、aguijeにもオフィシャルなフォントがあると、社内のウェブサイト・印刷物やその他の文書などのデザインを行う上で、それだけでより印象的なアプローチが出来たりデザインの統一感が出せそうだなと強く思っていたのと、個人的に以前からフォント制作に興味があったので重い腰を上げてぐわっとやってみました。

タイポデザインについてはその「タ」の字も知らないほどズブな素人の僕が、生涯で初めて作ったフォント。フォント・デザイナーのみなさんの目から見ると荒削りな部分が数多く目につくのだろうけど、なかなか味わい深いタイプフェイスになったと思います。英語圏の人はこのフォントを見てどう感じるんだろ。

アグイジェ・カイマン

aguije CaimanはうちのシャチョーFM’P細井さんが作ったaguijeロゴをベースに、一から作り上げたオリジナルの欧文フォントです。全ての文字を一文字ずつ、ベクターパスを丁寧に書き起こして仕上げました。各文字のライン・バランスはMyriadやHelveticaを参考にしていますが、そういった汎用性の高いフォントというよりも、デザインワークでキャッチ的な要素としても使えるユニークなものを目指しました。

文字を構成する線の太さが同じように見えるように作ったつもりなのだけれど、人間の目の錯覚まではなかなか計算できなくて、仕上がったものを眺めてみると文字によって太さのばらつきを感じる...。それは普通なら修正されるべき点かもしれませんが、そのばらつきがゴム印で押した文字のような「押しムラ」を想起させて、思いのほかアナログ感に溢れた味わい深さを生む結果になったとも思うので、そのままリリースすることにしました。

Ver.1.0では英数字と基本的な記号群をサポートしていますが、今後のアップデートでロシア文字やギリシャ文字等、特殊文字の追加を予定しています。既存の文字も気になる部分はブラッシュアップするかも。

Glyphs overview

ワニプロジェクト


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aguije Caimanのフォント・ネームは南アメリカ大陸の北部から中部にかけて広く生息する比較的小型のワニ、「メガネカイマン (Spectacled Caiman)」に由来します。これは仕上がったフォントの全体像を眺めた際に、その独特なタイプフェイスに爬虫類、それもワニの印象を得たことから名付けたものです。

そこでaguijeではオリジナルフォントの制作プロジェクトを「ワニプロジェクト」とし、今後輩出するフォントにはワニにちなんだ名前を命名予定。aguije Crocodileの誕生も近い...かもしれません。

ダウンロード

ダウンロードはaguijeサイトからしていただけます。ライセンスについては詳しくは遷移先のページを参照いただければと思いますがクリエイティブ・コモンズを採用しました。MacにはOpenTypeフォーマットを、PCにはTrueTypeフォーマットしダウンロードの際に適切な方がダウンロードされますようになってます。

This font is available for Mac and PC.
OpenType (PostScript flavored) for Mac / TrueType for PC
Latest Release: ver.1.0 (2008.11.10)
ダウンロードはこちら

TypeTool

TypeTool

aguije Caimanの制作はまずIllustrator上で各文字のパスを作成し、それをTypeToolというフォントエディタにインポートすることで行いました。Illustrator上でコピーしたパスはそのままTypeToolにペースト出来ますので非常に便利。Mac版とWindows版がありますが、どちらからでもそれぞれのOSに適切なフォーマットで出力できるようになっています。

TypeToolは、同じメーカーが発売しているFontLab StudioFontgrapherがProツールという位置付けにあるのに対し、ライトユーザー向けのよう。その分価格は比較的安めの$99.00です。上位ソフトとの機能差はぶっちゃけ良く分からないのですが、基本的な機能は網羅しているのでフォント・デザインを専門としているような人でなければ充分満足できるのではと思います。

TypeToolの不満としては、TypeTool上で拡大縮小を行ったときにパスが若干崩れてしまうことがあること。微妙なラインのカーブが直線に変換されたりしてしまうので、そこを手動で補正してやる必要があるのが少し面倒。なので拡大縮小の必要があるときは、あらかじめIllustrator上で行ってからTypeToolにペーストする方が良いようです。aguije Caimanの制作において、他には何か困ったり不足した機能はありませんでしたので、これからフォント・デザインをはじめてみたいという人にはおすすめです。