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毎日をちょっぴり楽しくしてくれる装置。

デジタルなトイカメラ VISTA QUEST VQ1005

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デジタルなトイカメラ「VISTA QUEST VQ1005」を購入しました。トイカメラな写真に興味がある方にはオススメ。デジタルなのでランニングコストもフィルムより断然お得ですよ。

映りは確かに悪い、しかし「味がある」として芸術的な面で評価されるLOMOとかHOLGAといったカメラがあります。低品質の材料・部材によって作られておりもちろん安価で販売されているので俗に「トイカメラ」と呼ばれているカメラです。

ケラレやぼけ、光漏れなど忠実性はほとんど期待の出来ない画が撮れるのですが、プリントしてみたときに目にする予想外の画に心をうばわれて、トイカメラの虜になっているファンの方も多いのではないでしょうか。

僕も以前から少し興味があったのですが、トイカメラの本体はたしかに安いのだけれど、やっぱりフィルムだとフィルム代やそのプリント代にかかるランニングコストがばかにならないよな...という理由で手を出すには至っていませんでした。

VQ1005と運命のランデブー

しかしそんな折りに偶然見つけてしまったのが「VISTA QUEST VQ1005」。Flickrの「Vistaquest VQ1005 & Genie III Keychain Cameras」というグループにプールされている写真を見てかっこいいなと思ったのですが、そこにプールされている全てがVQ1005またはOEM製造されているGenie IIIというデジタルカメラによって撮影されたものだと気づいたのです。トイカメラの写真であることはその独特の画から明らかでしたが、デジタルなトイカメラがあることを知らなかったのでまさに目からウロコ。

うおーこれ欲しいーってカッとなって買う気になったのですが、調べてみたところ日本では現在楽天にある「プロキッチン」というショップだけが取り扱っているようでした。今日見たら完売で次回入荷は2/14となっておりますので、入荷数が少ないか意外にも人気商品なのかのどちらかですね。僕は運良くすぐに注文することができました。

質感や仕様は脱力系

パッケージは左のようなブリスターパックとなっており、同梱物は本体 / USBケーブル / ドライバCD(Windowsのみ) / 単4アルカリ電池 / 簡単な説明書き。さっそく取り出してみた本体は予想を上回るチープさです。最初からメッキ剥がれてたし。しかしそこはなにしろトイカメラ。撮影される画もそうですが、まともな品質を要求すること自体が無粋でしょう。たとえ画素欠けがあっても当たり前という心意気で受け入れてあげるのが正解です。さすがに撮影できなかったら問題ありですが。

スペック等の細かい情報については、詳しく説明されている日本語サイトを見つけましたのでそちらでご確認下さい。趣味で制作されたものだと思いますが、VQ1005に対する愛情を感じさせる内容です。

撮影サイズは1280×1024(標準)・640×480(小)・1600×1200(大)の3サイズと、いちおうQVGAサイズの音声無し動画も撮影可能です。設定を行っても設定を保持するような気の利いた機能はありませんので、電源を入れる度に標準モードで起動します。こういったカメラは機動性重視なので、サイズ等はあまり気にせず標準モードでバシバシ撮るのが良いと思います。サイズもタバコの箱の半分程度で、電池抜きの重さが15gとiPod shuffle並の軽さですので、本当に気軽に持ち運べますし。

撮影時には本体をスライドさせてレンズとポップアップ式のファインダーを引き出すのですが、このスライドが堅いの何のって。まともにスライドさせようとすると爪が折れるかも知れませんので、キーチェーン部分を引っ張るのが良い方法。またファインダーはお情けで付いているだけで、ここから覗いた画角・構図とはまったく異なるものがもれなく撮れます。カラーの液晶画面なんて付いているわけがないので、撮影した写真はパソコンに取り込んでから確認することになります。つまり今撮影しているものがどのくらいのサイズで写真に収まるか、なんてのは撮りまくって経験で覚えるしかありません。まったくなんちゅーデジカメだ。

撮影した画像は内蔵の8MBのメモリに保存可能ですが、Macの場合ドライバが付属していませんしマスストレージにも対応していないので、USBケーブルで接続しても画像を取り出すことができません。したがってSDカードの利用が必須です。普通のデジタルカメラでメモリーカードが使えなかったら大ごとですが、VQ1005の場合へぇSDカードが使えるんだとむしろ褒めたくなりますね。内蔵メモリの画像は電池が無くなれば消失しますし、その前に電池を交換しても3秒以内に作業を済まさなければやはり消えてしまう潔すぎる仕様ですので、SDカードの利用を強くおすすめいたします。

ちなみに容量は512MBまで対応しているとのことですが、自宅にあったPanasonicの1GB SDカード(class 4)でも問題なく使用できました。512MBを超える領域に保存可能かは試していないので分かりませんが、80枚(標準)撮影しても合計で17MBにしかなりませんでしたので、1GBはおろか512MBさえ途方もなく大きな容量に思えてきます。

らしさ全開の味のある画

と、ここまでの説明で欲しいと感じる方はあまりいないのでは...と思いますが、やはり魅力はなんといっても仕上がった写真(撮影画像)です。ぼけてるしケラれてるしコントラスト高くて濃度高くてダイナミックレンジが低いへんな画像ばっかり撮れます。これがいわゆる「味」なのですが、なるほどカッコイイ。

もうプロとかアマとか関係なく、バシバシ撮って良いもの撮れた者勝ちみたいな。つまり誰にでも良い写真が撮れるチャンスがあるのがトイカメラです。税込み4,680円とまさにオモチャな価格ですので、気軽にはじめられてはいかがでしょうか。思うに、携帯のカメラはどうやったって専用機には勝てない。であれば中途半端に無駄なコストをかけたカメラを搭載するより、こういった安くても変わった画のとれるトイカメラを搭載した方が面白いんじゃないだろうか。多くの人は結局デジカメも携帯も持っている。