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iPhoneのカメラアプリはToyCameraとQuadCameraで決まり

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iPhoneのカメラをおもしろくしたいならToyCameraとQuadCameraがおすすめ。iPhoneのカメラをいわゆる “ケータイのカメラ” から “デジタルなトイカメラ” に変えてしまう素敵なアプリです。

ガラパゴスケータイとの比較で、弱点の一つとして常に言及されてきたのがiPhoneのカメラ。解像度が低くて、ノイズが多くて、AFもない。クオリティ重視のガラパゴスケータイに比べると明らかに物足りなさを感じる仕様のため不満に思う人もいるのかもしれませんが、iPhoneのカメラはスナップ用という位置付けで、そもそも両者を同じ土俵で勝負させる必要はないのです。

クオリティの高い写真を撮りたいとき、人々が使う道具ははたしてガラパゴスケータイか。答えはノーだ。「とっておきの一枚」はみんな “デジカメ” で撮るよ。ケータイにどんないいカメラが付いていても、結局のところスナップやメモにしか使っていないというのが少なくとも私の周囲での実情。それならiPhoneのカメラでも充分というのが思うところ。

(ただし、たったいま言ったことに矛盾してしまうようだがiPhoneユーザーに限って言えば「とっておきの一枚」もやはりiPhoneで撮っているのかもしれない。世界最大の写真共有サイトFlickrにおいて、iPhoneはいまや最も多く使われているカメラの5位だ。)

以前に書いた「デジタルなトイカメラ VISTA QUEST VQ1005」というエントリーでも少し触れたのですが、携帯端末に付属するカメラはどうしたって専用機のクオリティには適わない。そして専用機とは異なる使い方(スナップやメモ)をされるのであれば、専用機に似せようとするのではなく端末独自の尖った仕様だったり機能が載っていた方が面白いと思う。たとえば... トイカメラ風とか。

iPhoneでそれを実現してしまったアプリがfladdictこと深津貴之さんの “ToyCamera” と “QuadCamera”。他のデベロッパーが作った類似アプリもあるけど色々見て回ったり実際に購入して試した結果、コンセプト・機能・デザイン・サポート・価格を総合的に評価して自分の中ではこの2つがベスト。

ToyCamera

ToyCamera ToyCamera はiPhoneのカメラで撮影した画像に、トイカメラ風のフィルターを適用するアプリです。「常に予想できないトイカメラの楽しさを再現」をコンセプトに、シャッターを押したらアプリ内に用意されているフィルターセットからランダムで1つが適用され、画像が生成される。

「むずかしい設定は一切なく気軽に撮影できるトイカメラ本来の楽しさを追求した」という説明のとおり、いわゆるフィルターアプリではないため、撮影済みの画像に対してフィルターをかけるという機能はあえて省かれており、あくまでカメラであることに徹しています。このコンセプトに共感できるのならこれ以上無いと言っていいほど、iPhoneでのカメラライフが楽しいものになるはず。

生成される画像はまさにトイカメラのそれで、色調の変化・彩度やコントラストの変化・周辺光量の落ち・ノイズの乗りなどが実に良く再現されて、どんな画像でも「いい感じ」に撮影できてしまいます。フィルターの数は下のサンプルにあるように8つもあり全てが個性的。どれが適用されても大抵の場合素敵に変身するので、撮影時の楽しみがひろがります。

なおバージョン2.0までは適用されるフィルターを選ぶことが一切できませんでしたが、2.01からは右のキャプチャにあるように適用させるフィルターのセットをあらかじめ設定することが可能に。撮影後の画像処理時に、ONになっているフィルターの中からランダムで1つが適用されるということですね。App Storeのレビュー上では一部のユーザーから「フィルターを選びたい」という声が上がっていましたが、それに応えつつ当初からのコンセプトもぶらさないという見事なアップデートでした。同様に「正方形」での撮影にも対応されました。

そんなToyCameraなのですが使いづらいなと思っている点が一つだけある。それは撮影時における問題なのですが、左のキャプチャのようにファインダー部分(ピンクで囲った部分)が撮影ボタンとキャンセルボタンのインターフェースで部分的に覆われてしまって、構図づくりが若干難しいんですよね。インターフェースの背景は透明なので後ろの部分も見えなくはないのですが、透明度がそれほど高くないため屋外での撮影時には反射光の影響もありほとんど確認できなくなります。ここを改善していただけたら完璧。インターフェースの背景の透明度をもっと上げるか、個人的にはキャンセルボタンはいらないのでファインダー全体が撮影ボタンというような仕様にしてしまって良いかな〜と。

iPhoneはホーム画面に並んでいるアイコンを複数ページにわたって自由に並び替えることが可能なのですが、ToyCameraはデフォルトのカメラアプリを後方のページに追いやってしまうほど、iPhoneライフに占める割合が大きくなっています。アップデートで機能もコストパフォーマンスもグググっと向上したから、持っていない人はもうみんな買えばいいと思うよ。

同様のコンセプトの製品として他に “OldCamera” Old Camera と “SepiaCamera” SepiaCamera があるので気になる人は要チェック。

連写カメラ QuadCamera

QuadCamera QuadCamera - Multi shot cam はボタンを押すだけで4〜8枚の連続撮影を行い、一枚の画像を作成するアプリ。ロモグラフィーが販売している「アクションサンプラー」というトイカメラをご存知の方はそれを思い浮かべていただけると分かりやすいと思います。

設定画面で撮影間隔・レイアウト・カラーをセットし、あとは撮影ボタンを押すのみとこちらもToyCameraと同様に非常に分かりやすくシンプルな操作性を提供しています。連写撮影された画像というのは動画とはまた違った楽しさがあり、撮影時に鳴る連続シャッター音は爽快ですらあります。アクションサンプラーなどのトイカメラ専用機と違い、iPhoneアプリなら気分や必要に応じて設定を素早く変えることができるのも良いですね。

下のサンプルはそれぞれ1×8と4×2のレイアウトに設定したものです。1×8は一直線に並びますので撮影時にカメラの方向を一定間隔で回転させて撮影すれば、サンプルのようにいわゆるパノラマ写真とは異なる一風変わった雰囲気のランドスケープを楽しむこともできます。後で画像を回転させる手間はかかってしまいますが、縦に一直線で並ぶ構図で工夫しても面白いかもしれません。

また処理的に重すぎて難しいとは思いますが、コマごとにToyCameraのフィルターがランダムで適用されるように出来たら良いなというのが希望。QuadCameraで撮影できる、からQuadCameraじゃないと撮影できない、というようなユニークな画像生成処理が実装されれば最高です。

QuadCameraはまだリリースしたばかりで、撮影間隔の値がいくつなのか分からない等、主に設定画面のインターフェースに改善の余地がありそうですが早くも修正にとりかかられている様子で、このあたりのフットワークの軽さに惚れ惚れしているところ。今後のアップデートに期待もできますし今ならリリース記念で安くなっているので買っておいて損はないアプリかと思います。