Codex Seraphinianus
架空の人工言語で書かれた百科事典「コーデックス・セラフィニアヌス(Codex Seraphinianus)」。GIGAZINEで知ったのですが、ひじょうに魅力的な書物です。
イタリアのグラフィック・デザイナー/建築家であったルイージ・セラフィーニ(Luigi Serafini)が1981年に出版した美術書、ということなのですが、中身は世界の動物・植物・住人などの生き物のほか、機械や衣類・建築物、さまざまな事象を記録した百科事典となっています。といっても、その全てが彼が創り出した独自世界であり現実のものではない(と思われる)。「ヴォイニッチ手稿」の方はなんとなく知っていたのですが、それに並ぶ奇書ですね。
奇妙な文字で書かれた文章に果たして意味があるのかという点でも興味が向かいますが、鮮やかな彩りで描かれた多数の挿絵群それ自体が、強烈なオリジナリティを放っていて、1ページずつ舐めるように眺めたいという衝動をかき立てられるのです。
といってもこの本、初版ではなくアメリカで1983年に出版された版でも1,200〜1,500ドル(日本円にして14〜18万円)と、価格面でも希少価値が高く、おいそれとは手に入れることのできない代物です。GIGAZINEによるとイタリアのオンラインショップで廉価版が販売されており、そちらは75,65ユーロ(11,650円)で購入できるとのことですが、英語ならともかくイタリア語ではさすがに注文は難しい。実のところ日本のAmazonでも洋書コーナーで販売されているのですが、こちらはマーケットプレイスからの出品で最安値87,263円...。厳しい。
それがなんと、いろいろ問題はありそうですが、今ならFlickr上で鑑賞することができます※。実物の内容は見たことがありませんが、ウィキペディアや他の特集サイトを見るに、本物のスキャン画像のようです。
見応え満点でかなりありがたく拝見させてもらったのですが、こういった本はやはり書物として手にとって見てみたいところですねえ。
これだけのものを創るのにいったいどれほどの時間がかかったことか。本人はといえばただ好きなことに力を注ぎきったということだけなのかもしれませんが、こういったハンパじゃないクリエイティビティに僕は惹かれてしまいます。ちなみに、ルイージ・セラフィーニはCodex Seraphinianusの出版により一躍有名となり、その後映画や舞台のデザインも手がけるようになったそうな。