探偵ガリレオ / 予知夢

「探偵ガリレオ」も「予知夢」もそれぞれ5本のエピソードを収録した東野圭吾の短編集です。燃え上がった若者の頭・心臓だけ腐った男の死体・池に浮んだデスマスク・幽体離脱した少年など、説明のつかない難事件に警視庁捜査一課の草薙俊平と帝都大学理工学部物理学科助教授の湯川学が挑む、というもの。短編集であるためそれぞれのエピソードは当然短いですが、物語としてよくまとまっていて面白いですし、内容的に難しいこともない。

「探偵ガリレオ」の方は事件に科学的な現象が深く関わっている内容ですが、「予知夢」の方は少しそこから離れます。どちらかと言えば、湯川は前者ではあくまでも一科学者として事件に関わっていくかたちですが、後者では探偵よりのスタンスなっている感がありますね。どちらにせよ個性的で魅力的なキャラクタです。まだ読んでいないのですが、長編ミステリーの主人公として湯川がデビューした「容疑者Xの献身」にも手を伸ばしたい気分になってきました。

ドラマの方も第1話を観ましたが、福山雅治演じる湯川もなかなか良いです。原作の湯川のイメージとは少し違うかなと思いましたが、少し常人離れした雰囲気やセリフ回しなどよく役作りしていて、「福山雅治の湯川」になっているなという感想。口癖の「実に面白い」や「さっぱりわからない」はドラマ用に作られた設定ですが、キャラクタの個性をより濃くしてますね。

ちなみに、実は原作の湯川にはモデルとなった人物がいます。それは「探偵ガリレオ」のあとがきでその人物本人の口から語られることになるのですが、なんと俳優の佐野史郎。ちょっと驚きましたが、振り返ってみるとあぁそうかもね、と思えてくるから不思議。

またヒロイン役で登場する柴咲コウ扮する内海薫は、ドラマオリジナルのキャラクタ。月9に月9女優が居ないんじゃ成立しないぜヤングやOLのハートをつかめないぜ、という意味合いで無理矢理つくられた感がバレバレで、「あなたを逮捕したい」という台詞にはどん引きさえもさせられましたが、カワイイので許す。月9でなくとも、原作同様に湯川・草薙コンピを中心に据えたもうすこし大人な構成のドラマにしてくれても良かったかもしれませんねえ。