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なぜなにどうして。

Movable Typeでフォークソノミー

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Movable Type 3.31日本語版を導入しました。Movable Typeに限らず新しいバージョンが出たらとりあえず入れてしまうタチではあるのですが、3.3が出た時に何となく乗り気がしないというだけの理由で今までアップグレードをためらっておりました。しかし、今回は待って正解だったらしい。

実はMovable Type 3.3のリリースはゴタゴタ続きだった。6月28日に日本語版の正式リリースがあったと思えば、その初期のダウンロードパッケージにファイルの「漏れ」があったことが発覚し、2時間半後に再リリース。あぁやらかしちゃってると思いきや、エントリーが編集できなくなるエラーやらアーカイブの構築エラー、さらには最悪の場合データが消失するテンプレートの不具合が続けざまに明らかとなり、急遽修正版のリリースが決まった経緯が在ります。アーカイブの構築エラーについてはちょっと検証すればわかるだろう、と言いたくなるレベルの不具合で、あきれ気味。

その修正版というのが3.31というわけなのですが、上記で述べた3つの不具合の修正版かと思いきや、それ以外にも多数のバグフィックスがなされたものでした。本家3.3英語版ではそうしたプレスリリースが出ていないようですので、おそらくは日本語版のみで生じるバグだったものと思われますが、これだけ色々あったとなると3.31にも何かあるのでは...と躊躇したくなるものです。

そういうわけでしばらく静観していたのですが、幸い何も無いようなのでアップグレード。3.2xからのアップグレード方法については例によってMilnano::Monologを参考にさせていただき、つまづくことなく完了いたしました。mt-config.cgiの内容が驚くぐらい簡素化されています。

3.2xから3.3のアップグレードで追加された機能といえば

  1. デザインテーマを自由に切り替えられるStyleCatcherプラグインがプリインストール。
  2. カレンダーや検索フォーム、各アーカイブタイプへのリンク領域などの「Widget」と呼ばれるブログパーツを、サイドバーにドラッグ&ドロップで追加・並び替え・削除が可能な「Widget Manager」が備わった。
  3. エントリーごとにdel.icio.usFlickrで言う「タグ」が追加可能になった。
  4. ブログに対する全ての動作を記録し、フィードの形で配信するアクティビティフィードが追加された。

になります。

1.に関しては当ブログではこのブログ専用のテンプレートを1から起こしているため、あまり利用価値はなさそう。2.に関しても特に必要としていないのでいらないのですが、ソースを汚したり崩したりしないような機能拡張であれば使ってみてもいいかなと思ってます。それにビジネスでお客さんに説明できなくても困るでしょうし。4.はズバリ不要。

ということで、やはり今回のバージョンアップの目玉は3.の「タグ」システム。いわゆるフォークソノミーだ。(フォークソノミーの意義とその価値については、Hotwired Japanの『ネット世界をタグで分類する「フォークソノミー」』という記事で分かりやすく取り上げられている。)

しかしながら、ブログなんてものは大抵の場合1人で運営しているか、多くて数人。企業のキャンペーンブログに範囲を広げたとしても数十人が限度です。そんな狭い範囲にフォークソノミーは必要か?というのが疑問だったのですが、Ogawa::MemorandaのOgawaさんが書かれた「四畳半フォークソノミーの実現に向けて」を読んでなるへそ、と思う。無意味なカテゴライズを捨てるという点一つで激しく同意です。

実のところこ3.3が登場する以前に、Ogawa氏が「Tagiwire」というプラグインにより同様の機能を先に提供されており、このブログでもそれを採用させて頂いている。Tagwireプラグインはエントリーの「キーワード」をタグの入力欄として利用するのに対し、純正はあたりまえだが専用の入力欄を設けているかたちで、両者の違いはというと、純正の方にはタグの管理画面があるという点ぐらい。あったらやはり便利なのでうらやましいのですが、タグを修正する機会がそれほど無いため、大きなアドバンテージではないと判断しています。

また純正では標準で行えるタグの動的検索(mt-search.cgi)についてですが、Tagwireプラグイン単体では行えないもののMT-XSearchと組み合わせることで可能にするソリューションが、Ogawa氏によって提案されています。しかも、MT-XSearchによる検索の方がたぶん高速。3.3をお使いでなくともご存知のとおり、mt-search.cgiはとにかく遅い。エントリーの数が少ないうちは気づかないかもしれませんが、その数が数百にもなってくると検索スピードがガタ落ちしていた今までの経緯を踏まえると、タグ検索も遅くなるのではないかと。その点から判断すると、むしろTagwire + MT-Xsearchの方に分がありますね。ここまでの機能を惜しげも無く提供されるOgawaさんのパワフルさに脱帽してしまいます。。

いまのところは3.3x純正のものとTagwire + MT-Xsearchのどちらを選択しても良いと思いますが、気軽にはじめたいのなら純正でしょうか。ただし標準の設定ではブログのリビルド時間が異常に遅くなるという嫌いもありますので、注意してください。なかなか難しい判断ですが。

何はともあれ、Movable Typeがフォークソノミーを標準仕様として取り入れてきたのが意外に早く驚きましたが、歓迎すべき発展だと思います。やってみて思うのですが、フォークソノミーは狭い範囲であってもひじょうに有用。ブログに優れた検索機能が備わるという点だけでもオススメです。関連性のあるエントリーの抽出なんてお手の物になりますよ。成長したタグクラウドを見れば、自分の趣味や嗜好にどういった傾向があるか、さらには考え方も見えてくるかもしれませんね。

さらに、ブログのフォークソノミーは狭いと言いましたが、今は限定的ながら広いフォークソノミーに「参加」する方法もあります。そのあたりについては別途エントリーしようと思っているのですが、せっかちな方は亜細亜ノ蛾の「MTでTechnoratiへタグ情報を送る・Feed埋め込み法」を参照されたい。

タグを付ける作業に全く負担がないわけではありません。しかし必要性の無い場合のカテゴライズなどとは異なり、時間的にはどうあれ直感的に付けられるぶん精神的には楽なのではないでしょうか。それに、ユーザーはたとえ面倒であっても、充分な見返りを望めるのであれば苦と思わないものです。情報に価値をつけていきましょう。

フォークソノミーを制すると、ひょっとしてひょっとするよ。