Addicted to Mac

こころおどるコンピュータ。

Volume Logic iTunes Plug-in

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iTunesでシャッフル再生をすると、異なるアルバムの再生に移ったとき、異様な音量差を感じることがあります。特に古いCDと最近のCDを比べると、その差は顕著です。快適な音量だと思って聴いていたのに、次に再生された曲の音量が大きすぎて、不快ささえ感じた経験はないでしょうか。

この音量差は、当時と現代のマスタリング技術の違いからくるものです。録音・マスタリング・プリント等、CD制作に関わる技術は、CD発明時と同じではありません。見た目に分からない部分ではありますが、日々進化を遂げ洗練されてきているのです。同じソースのマスタリングであっても、最新の技術を使った方がより迫力・臨場感のある音を効くことが出来ます。

さて、今日はちょっと前置きが長くなりました。僕はけしてオーディオマニアでもないし、そのへんの技術に精通した人間でもありません。それでも自信を持ってオススメできる素敵なソフトウェア。

古いCDの音にも迫力と臨場感を与えてくれるプラグイン、Volume Logic iTunes Plug-in。MacとWindowsに。

古い録音のCDが「デジタルリマスタリングされて新発売」みたいなふれこみで再販になることは多いですが、これはソースは同じだけれども、現在の技術をつかって音質(音圧・音の太さ等、もちろん音量も含む)を最適な状態にして発売しますよ。ということを言っています。

Volume Logicは、iTunesでいままさに再生している曲に対して、リアルタイムにデジタルリマスタリングの処理をしてしまおうという技術です。実際にインストールしてみると、予想以上の効果に軽いカルチャーショックでした。ドナ・サマーやらアハやら、古い録音のJazzなんかに効果テキメン。

ライブラリ全体の音量バランスを整えてくれるのはもちろん、サスペンションシンバルをブラシで叩いた時の音、鍵盤楽器の艶やかさ、ボーカルの息づかいなど、繊細な部分の厚みが格段に増します。こういうの、音が立つって言うらしい。

実は音量を調節する機能としては、iTunesにも「サウンドチェック」というものがデフォルトで付いている。しかし、これは数値上の音量を調節するのみで、Volume Logicのように音質という意味での音量の調節ではない。

それから、いま取り上げたサウンドチェック以外にもiTunesには「サウンドエンハンサー」「イコライザー」といった機能がついているが、同等の機能をVolume Logicだけで実現できて、しかもこちらの方が音質がいいときたものです。機能的に干渉しあう部分が少なからずあるはずなので、Volume Logicを使う際はiTunesの機能は切っておいた方がいいかもしれない。双方の機能を使って動作不具合が発生した試しは無いですが、結果Volume Logicが意図している処理ができないとすれば、ちょっともったいないのだ。

で、そんなVolume Logicにも気にならない点が無いわけではない。

ひとつはiTunesにVolume Logicをインストールしても、iPodでのリスニング環境には影響(効果)がないということ。それもそのはず、Volume Logicはあくまで再生されている音に対しリアルタイム処理を加えるもので、ファイル自体に加工をするものではないためです。従ってVolume LogicをインストールできないiPodではどうしようもない。iPodにこそ必要なPlug-inだと思いますのでこれはかなり残念。アップルと大人な解決目指していただけないでしょうか。

ふたつめは、ライセンス体系。1カウント2,400円で、3回までしか認証できない。そのラインセンス体系に同意して買っているわけだから文句言えた筋じゃないですが、なんかセコイ。

と、そんなところです。この2点をふまえていただければ、日々のミュージックライフをiTunes中心に送られている方にはオススメですねえ。とりあえず2週間はフル機能の試用が可能ですので、お試しあれ。当然MacやPCに内蔵のスピーカーでは効果の違いはそれほど現れないと思いますので、この際スピーカーも用意してみますか?

2006.5.29 〈追記〉

iPodへの対応状況に付いては、日本の販売元のFAQページにメーカーの見解が掲載されていました。

... Octivでは、iPod用のVolume LogicをAppleに買収してほしいと願っています。実は、既にiPodに使用されているチップで実行できるように、我々のコードを移植することには成功しています。ですが、実際にそれらのコードがiPod上で安定して実行されるには、Appleからの技術的専門情報の提供が必要です。 ...

技術的には可能だけれども、安定化させるにはアップの協力が必要だと。「Appleに買収してほしいと願っています。」ってすごいくだりですよね...。素晴らしい効果のプラグインだけに、ユーザーとしては実現を願わずにいられないです。