Crazy for Gadgets

毎日をちょっぴり楽しくしてくれる装置。

iPhone狂想曲 〈購入〉篇

text:
iPhone 3G 化粧箱

日本各地がiPhone 3Gフィーバーに明け暮れた2008年7月11日。初代iPhoneが発表されるはるか以前から、アップルが携帯電話を作ったら絶対欲しい、と思っていた自分にとっては特別な日。iPhone 3G(16GB, ブラックモデル)がようやくこの手にやってきました。さらばau、今でも好きです。でもあなたはiPhoneを出してはくれなかった。

もうそこら中にレビューは上がっているのでここで僕があらためて書くほどのネタは無いのですが、でも書かずにいられない。

iPhone ハンティング

アップルがiPhone 3Gを発表した6月10日、そのわずか6日前にソフトバンクが年内のiPhone発売を宣言。その後iPhoneの取り扱いをソフトバンクショップおよび家電量販店で行うことが発表されると同時に、ゆっくりとリサーチを開始。

表参道のソフトバンク旗艦店や大型量販店ではドラクエやWindows 95並の行列が出来てしまうだろうと予測して、狙いを地元のソフトバンクショップに定めました。自転車でらくらく行ける範囲はと言えば、ソフトバンクショップ成城学園店祖師ヶ谷大蔵店千歳船橋店狛江店の4店舗。

正午からというiPhoneの販売開始時刻が発表されたのは発売日の数日前になってからでしたが、まあ朝か昼からだろうと踏んで、通勤のため多くが都心に流れてしまうだろうベットタウンで、かつ周囲に大学が無いこと(大学生は時間を作りやすい)を条件に絞ってみると、狛江店という結論に。近所なので買い物のついでにちょっと寄り道して店舗の前を通ってみたところ、車通りはそれなりだが人通りはそれほどなく、しかも駅から少し離れているというハンティングにはなかなかの好立地であることが判明しました。

公式には予約は受付しないということになっていたものの、ソフトバンクショップによっては突然予約を取って即打ち切りになってしまうところがあったため、狛江店でも知らない間にそんなことにならないかとヒヤヒヤしていたのですが、何回か問い合わせてみたところ「入荷数未定、当日販売のみ、何があっても予約は受け付けない」と確固とした姿勢を貫かれていたので、逆に安心できました。

いよいよ前日になって、その日の夜にちょっと飲む機会があり遅くなったので、帰りがてら店舗の様子を伺うために前を通ってみました。すると、既に1,000人を超える購入希望者の列が出来ていた表参道店の様相は微塵も感じさせず、人っ子一人いない状態。我ながらいい読みをしたもんだ、こりゃ時間通り正午にくれば買えるだろーとそのまま後に。で、さくっとシャワーを浴びて寝てしまったのですが、いまいち体調が良くなかったらしく軽く飲んだだけなのにアルコールで体の関節が痛んで数時間で目が覚めてしまいました。

寝られるものならもっと寝たかったのですが、目が覚めてしまってから一向に眠気がやって来ず、仕事をはじめるのにはまだ早すぎる午前6時。となると心配になってくるのは狛江店の様子。んーむ、いくらなんでも正午に行って買えるだろうかと急に不安になって、手近にあった暇つぶし用の本や財布など契約に必要なものを適当に鞄に押し込んでチャリンコで出掛けることにしました。

まぁけっこう田舎だし行ってみたら誰も並んでなくって苦笑するだけじゃないの?と思いつつ行ってみると、店舗前にまばらに人影が。ちょっと焦ったのですがその時点で自分以外に6人が待っていた状態。これは帰ったら買えないだろうなとそのまま並ぶことにした。ドラクエのときもWindows 95の時も並んだことは無かったし、並ぶことに若干気恥ずかしさもあったのですが、生まれて初めてモノを買うために開店前の店舗に並ぶという経験をしました。

ソフトバンクショップ 狛江店

開店、購入権獲得。うれしい。

待っている間、わかりきっているのに前後に並んでいた人と「iPhoneお待ちですか?色はどちらをご希望ですか?やっぱ黒ですか、白もなかなか。」なんて一抹の会話を楽しんだり、持ってきた本を読んで過ごす。その日はそれまでの梅雨空が信じられないほど朝から天気の良い日で、太陽が夏のはじまりを感じさせる日差しを傾けたせいで、じっとりと汗をかく。事情を知らない年配の人には怪訝な目で見られるし、なんかここまでするほどのことかなぁと若干後悔しはじめていたのですが、それでも開店時間に近づくにつれて列も20人くらいに達し自然にヒートアップしてきました。

迎えた開店時刻。そそくさとソフトバンクショップのスタッフが出てきて、その日狛江店が入荷するらしいiPhone 3G(16GB, ブラックモデル)10台分の契約書類を前から順番に配りだし、書類を受け取った人には販売できると説明が。僕は7番目だったのでこの時点で購入できることが確定してやっぱりうれしいかぎりでした。悲惨だったのは、購入できない11人目以降の人たちへの対応をしたスタッフのみなさん。中には大人げなく声を荒げて怒っちゃうオッサンとかもいて、スタッフにとっては怒濤の一日の始まりを確信させる出来事だったに違いない。しかし表参道店では1,400人を超える受付をしたというのにここ狛江ではわずか10人ですか...。これはこれでシビアな戦いだったかもしれません。徹夜なんかするよりよっぽどマシではありましたが。

手続きの開始は正午からなので時間になったら戻ってください、ととりあえず解散になり、自分はというと一旦自宅に戻って昼飯食ったり仕事をちょこちょこ。並んでいる間の時間は退屈で死ぬほど長かったのに、正午までの時間はあっという間に過ぎました。

劇団ひとり

正午に再びソフトバンクショップに赴くと、先に到着した人たちへのiPhone販売手続きが開始されていた。どうもアップルのサーバーが大混雑してアクティベートに時間がかかるらしく、狛江店で一度に処理できる3人の第一陣が手続きを終えるまでに45分ほど待たされた。

劇団ひとり

で、とうとう自分の番が訪れてカウンターへ向かってみると、そこにいらっしゃったのは劇団ひとり。いやもちろん本人じゃないのだけど、見た目も雰囲気も話し方も、とにかく劇団ひとり。文章力が無くてうまく伝えられないところが歯がゆいですが、なんと言いましょうか、ちょっと棒読みな感じの話し方やぎこちない身のこなし方がコントをやっているときの彼に似ていて僕の笑いを誘うわけです。

auからのMNPで契約したので通常よりも手続きが大変そうに見えたのですが、その間もiPhoneに関して掛かってくるすさまじい量の電話をさばきながらの対応。もう忙しすぎて辛いのか、「今日はさっきからiPhoneの問い合わせばかりなのです...」とぼやく彼の目はちょっと涙目。劇団ひとり涙目。胃の奥底から湧き上がってくる笑いを浅く回数の多い呼吸でごまかしつつ、劇団ひとりがんばれ!と応援するオレ。顔ニヤけてたらごめんなさい。

ただ、バカにしたいわけじゃなくて対応はもの凄く丁寧だったし親切な方でした。そのうえオモシロイなら、何かあったときにネットで手続きではなくてまたショップに出向きたいと思うよね。ちょっとファンになりそう。キャリアとしては冒頭で言った通り今でもauが好きなのですが、ソフトバンクもわるくないかもと思えた瞬間。

かくして手にしたiPhone 3G。今回はiPhoneそのものからは離れた内容に終始してしまいましたが、続きはまた今度。ほんとはこういうエントリーが書きたいんだけどなぁ、なんで劇団ひとりが登場したんだろ。