気まま視聴覚室

人生は音楽だ。映画のような人生を。

WALL•E / ウォーリー

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2008年最後に観た映画がこの映画で、本当に良い観納めができました。“WALL•E(ウォーリー)” は自分の中で “レミーのおいしいレストラン” を超えるPIXAR最高傑作。まだ観ていない方は公開中に絶対に映画館で!

ザッツ・エンターテインメント

人間たちが見捨てた、29世紀の地球。そこに、700年もの間、ひとりぼっちで働き続けるゴミ処理ロボットがいた。名前は、ウォーリー。長い年月の間で、いつしか “感情” が芽生えた彼は、ゴミの中から “自分のお気に入り” を拾ってコレクションしていた。人間たちが残した “思い出” に囲まれていると、ウォーリーはちょっとだけ幸せだった。それが、彼の本当の孤独を癒すことはできないとしても...。

ある日、ウォーリーのまえに現れた、ピカピカのロボット “イヴ”。ウォーリーは、彼女の気を惹くために、次々と自分の宝物を見せる。しかし、薄汚れた長靴に入った “ヒョロッとした植物” を見せた瞬間、イヴは突然フリーズしてしまう。彼女には、地球の運命を左右する “重大な秘密” が、隠されていたのだ—。

WALL・E/ウォーリー公式サイトより〉

まいった、という一言に尽きる。WALL•Eは2008年に公開された映画の中で「ザッツ・エンターテインメント」な作品の最高峰。崖の上のポニョも良かったけれど、わかりやすさを追求したという点では対極にあった作品かなと思います。

恋愛・環境破壊への警鐘・大量消費社会への皮肉など多くのテーマを盛り込みながら、小学校低学年の子どもでも難なく理解できるだろう「おとぎばなし」に仕上げてくれた。それでありながら、“2001年宇宙の旅” ・ “美女と野獣” ・ “マンハッタン” ・ “マトリックス”など、大きなものから小さなものまで過去の作品へのオマージュやパロディが散りばめられていて、大人も飽きさせることがない。映画に造詣の深い人だったら僕などよりよっぽどご存知だと思いますので、細かい部分まで網羅したまとめページとか作ったら面白いでしょうね。

WALL•Eはじめ多くの登場人物(?)がロボットだけあってセリフは少なめ。後半から人間たちが登場しますがセリフはやはり少なく、人間が登場しない前半だけで言えばまるで良くできたサイレント映画のよう。ロボットであるにも関わらず彼らの顔には「表情」があり仕草など繊細な動きの描写が生き物のように実に自然なため、むしろセリフの必要を感じません。空想上のロボットやメカを描くときほどCGが力を発揮することはないと思うのですが、その良い面が最大限に活かされた映像であり、そしてここまで丁寧に作り込まれるとロボットながらキュンキュンと愛らしさを感じてしまう。背景ももはや手描きのアニメーションでは実現できないほど細かく描写されており、溜息が出るばかり。日本の「アニメ」とは別物の、「PIXAR」というジャンルであることをまざまざと認識させられました。Blu-rayのフルHD映像も早く観たいところです。

ハラハラドキドキ、笑いあり涙あり。観終わってみると良くも悪くもコテコテ感たっぷりのストーリーでしたが、小学校低学年くらいの多感な子ども時代に観たら間違いなく思い出に残る作品。いまの子どもたちはリアルタイムにPIXARを観て育つことができるんだなと思うと嫉妬。きっと何回も観ちゃうよ。

また毎回のように凝っているオープニング・ロール&エンド・ロールだけでなく、今回はオープニング・アクト的扱いでショート・ムービー “Presto” も上映される力の入れよう。これまた素晴らしい出来で、最初から最後までとことんPIXARの世界を堪能できる、フルコースの料理のような体験でした。今回のエンド・ロールはほんとにカワイイので途中退場なんぞ野暮なことはしないように。

アップルファン垂涎ものの演出

WALL•Eが恋するピカピカのロボット “イヴ”。彼女のデザインは、なんとアップルのインダストリアル・デザイン・グループ担当上級副社長で、iMac, MacBook, iPhone, iPodなどアップルの現行ハードウェア製品デザインのほとんどを主導したジョナサン・アイブによるもの。ゴツゴツしたWALL•Eと並ぶとスマートさが際だつ印象の彼女ですが、つややかなホワイトのボディに黒いディスプレイ(顔)はどことなく一世代前のiMacやiPodを想起させます。将来のMacはイヴのようになめらかで歪み一つ無い美しい曲面に覆われた筐体になるのかも。ふわふわ浮いててくれたら間違いなく買います。

その他WALL•Eがいつも楽しみにしている就寝間際の映画鑑賞で使う再生装置がiPodだったり、なるほどスティーブ・ジョブズがPIXARのCEOを務めていることもありアップルに通ずるイースター・エッグ的なネタが散りばめられていて、ファンには垂涎ものの演出です。

WALL•Eがあの時に発するあの音はもちろん! ...これ以上は言いますまい。

あけましておめでとうございます

というわけで、新年一発目のエントリーは2008年最高の映画の中から一本をご紹介しました。みなさま、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年もいろいろと自分や周囲の状況が大きく変わった年でしたが、今年も動きがありそうです。100年に一度と言われている大不況下で何が起こるか察しがつきませんが、守るべきものは守り壊すものは壊して、柔軟に動いていく所存です。お仕事はもちろんプライベートな活動などでもお役に立てれば幸いです。

このブログはリニューアルに伴い更新がなかなか大変になりましたが、ミイラ取りがミイラに(笑)なんて言われないように、マイペースではございますが頑張って更新を続けたいと思います。

今年も良き出会いに恵まれ、またみなさまにとって素敵な一年となりますように。