いねむり読書のススメ

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最新・世界地図の読み方

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最新・世界地図の読み方デザインのデザイン

原研哉氏の「デザインのデザイン」に、世界地図を90度回転させユーラシア大陸を「パチンコ台」に見立て、グラフィック・デザイナーとしての氏が日本がデザインの世界で果たした役割を考察する一節があります。

このパチンコ台の考察は、著書の中でも触れられているのですが、もともとは高野孟氏が「最新・世界地図の読み方」で述べた別の考察に感化されたものです。なんとなく気になってしまったので読んでみたのですが、いやいや面白い。

政治・社会情勢について自分はというと、昔っから無頓着な面があり、自国も海外も含めどうでもいいと思っていた時期があります。しかし、近年海外へ頻繁に旅行に出掛けるようになって分かったのですが、他の国の人と話をすると、意見交換までとはいかなくとも、そういったものが共通の話題として上ることは少なくないです。そんなときに、いや良く分かりません...では恥をかきますし、そんなこと言って潰しの効く年齢でもなくなっちゃってるんですよね、いつの間にやら。

正直堅っ苦しいことこの上ない本ではありますが、これも少しはまともな大人になるためだと堪え、なんとか読み進めていくとそれなりに面白くなっていく。使われている言葉自体は専門用語を除けば、まどろっこしい言い方をしているわけでもなく読みやすいし、節ごとに参考とした出典やサイトのURLが細かく記載されており、実際にそれを見てみると、なるへそと興味が膨らんでいく仕組み。僕は時間を作って一気に読んでしまったのですが、やはり片っ端から抜けていってしまった部分もあり、これは気の向いたときに資料を片手に(それと茶菓子があっても良い)少しずつ読み進める本だな、と気づきました。

メディアの形態が百花繚乱のこの時代、欲する欲しないに関わらず、名も知らぬ土地で起きたニュースが飛び込んでくるのはまったく珍しいことでありません。その際に「世界地図で実際に場所を確かめる」ことを著者は薦めているのですが、それにこれほどまで打ってつけなソリューションが現れることを、氏は果たして予測できたでしょうか。そう、Google Earthです。教材としてまさに最高。

「最新」というタイトルでありながらデータが古いのが玉に瑕ですが、これはこの本が1999年刊行のため仕方のないところ。

ちなみに1995年のデータによれば、東京都を独立国として見た場合、GDPは7,718億ドルとなり7,039億ドルのブラジルを抑えてGDPランク世界第8位。さらに1人あたまで見れば、東京都は世界第2位 43,797ドルのスイスをぶっちぎりで抜き去る65,556ドルで世界第1位となる。日本のGDPは僅かながら年々上昇していますので、この順位は多分変わっていないはず。「東京国」としてサミットに出ててもおかしくないわけで、これが都知事が一国の大統領と呼ばれる所以の一つです。

さてさて、都知事選どうしたものでしょう。